世間は狭い

今日はしばらく顔を見ていない両親の所に顔を出した。

母はいつもどうり93歳の父との共同生活の愚痴を言っていたが、

まだまだ二人とも元気である。88歳の母も頭は同年輩の方より

動いているように見受けられる。90歳を迎えられた佐藤愛子先生の新聞の切り抜きを

取ってくれていて、「どうしたら、こんなに美しくいられるのだろう」と嘆く。

いやあ、あなたも引けは取っていませんよ・・・母の所に来るとなんだか佐藤先生のお顔が

見たくなる。またお電話してみよう、「晩鐘」の執筆が終わられて少し落ち着かれたのでは

ないだろうか。両親をみると何だか伺いたくなる。

話は変わるが

母の親友がとんでもない悲劇に襲われた、それが今日の母の気持ちを深く落ち込ませていた。

ニュースで取り上げられた学習院の山岳部の学生さん、雪山の遭難の当事者がなんと

母の親友のお孫さんだったというのである、遭難の救助を待ったが

雪崩に襲われて亡くなったことは知っていた、がまさか知人の

お孫さんで跡取り息子さんだったとは聞くまで知らなかった。

救助のヘリコプターが白い雪の上に手袋を見つけ、その下1メートルからご遺体を見つけたそうだ。

まるで、ここに居ますと言うようにである。

「貴女の所のひ孫の高校合格が唯一のいいことよ・・・」と母はしょぼくれていた。