能の世界。

素晴らしい幽玄の世界。
観たものは日本人なら、心奪われる。
海外の人は、いかがなものか?
静かな動きを盛り立てる、笛、大鼓、小鼓。
やはり足の運びに眼がいく。
素晴らしい。
我が師。井上和幸氏の謡曲高砂を謡いながら舞われる姿は、静かに深く水の底の世界に観るものを誘う。何だろう、決して自分をアピールするわけではない。そこにいる、という、存在感
何故?日本人なら誰でもが知る高砂のはず。しかし、場を清め静かに次の梅若実四世の登場の為の露払いの役目を演じきる。
あーやはり京都まで来てよかった。
梅若実四世の「菊慈童」の世界。皇帝のまくらを跨いだ罪で、レッケン山という山の中で、菊に滴るツユを飲み少年の姿のまま700年の歳月を過ごしたという話を表現なさるが、不老不死という事は、その罪もその年月を背負って過ごすと言う裏を表現せねばならない。
誠に興味深い作品でした。能面を面オモテと呼ぶが、そのオモテの裏の奥の人間の煩悩の世界を控えて、静かな深い部分でどう表現するのか
大変興味深かった。ただ、演者は首を深く傾けただけだったのに、その瞬間涙が頬を伝うのを見た。面の奥の四世は何を思われたのだろうか?素晴らしい幽玄の世界を見せていただきました。

最後は親子共演の獅子が圧巻でした。
歌舞伎の舞とは違う、迫力に魅了されました。
エネルギーには動のエネルギーと静のエネルギーが有ることを深く感じて、能の世界に触れた事を、感謝した次第です。