これも憑依ですか?
大変疲れた女性が事務所を訪問してきた。
6か月もあっていなかったから色々あったのだと言う。ゆったりとお茶をして
話をしてから、身体を楽にしてあげる。
なんだかセイジで燻す必要性を感じたがどんなものがその人を悩ませているかは
その人が話し出さない限り私は、相手を驚かしたり恐怖を感じさせたくないので
話さない事にしている。二時間の施療の最終段階にきて彼女の顔にかさなるように
男の好色な老人の顔が浮かぶ。やはりそうだ。しかし何も話さないでセイジを山盛り
皿に置きライターで火をつける。この位やらなければ退散しないだろう。
しかし、この老人は霊体ではない、よく見るとロクロッ首の様に彼女の肩に根置き
細い首がぐるぐると彼女の首に巻き付いている。これは妖怪だ。
誰かの意志で彼女にとりついている。黙って窓を少し開けセイジの煙を外に流す。
妖怪が少しずつ小さくなっていく。すると彼女が「何か憑いていますか?」と聞いてくる。
「心当たりがありますか?」「長い髪の女の人ですか?」「ちがいますが、妖怪の場合誰か念の強い人
に操られていることがあります。」「その女の人に会ってから首に何かが巻き付いていて、甲状腺かも
知れないとお医者さんに行きましたが甲状腺ではないと言われ、悩んでいたのです。」
呪詛返しのやり方を教えセイジを炊き込めて、その妖怪を放った人に返した。
彼女は体が軽くなり原因が解り対処法も解って喜んで帰られた。
私は決して、自分がはっきり見ない限り対処はしない。人を驚かす事も無いであろう。