2020年大晦日

お正月の神様

みなさん。もういくつ寝るとお正月。

もうすぐお正月になります。皆さんはお正月の神様がいることをご存知ですか?

知らない方がたくさんいらっしゃるようなので

今回はお正月の神様についてお話しましょう。

大きなお顔に金色の髪髭でまるでお正月に昇る初日のようなとても美しい神様です。

お正月は一年の節目、新しい年をお祝いする日です。

 

12月になり、去る年から行く年へと駆け足で時間が過ぎていく頃、

一人のみすぼらしい老神がそぉっと現れます。

とても貧相な神様で姿が見える人に貧乏神と間違われて追い払われることもしばしばあります。

町の中をふらふらと歩き回り、最近の信仰の薄れた人々の文句をぶつぶつとつぶやいて歩きます。

31日には近くの神社の小さな東をな向いた大歳神を祭った祠にお入りになります。

だんだんと人の波が増え神社の中は新しい年を迎えようと集まった人たちでごった返す頃、

みすぼらしい神様は横になり白い息をすうっと吐き出すとそのまま息をひきとります。

そして人々は新しい年を高らかに喜び神社は初詣の波でごっちゃになります。

だんだん空がしらけ始め、初日の出が顔を出すとその光がまっすぐに貧相な神様に伸びていきます。

すると息を引き取った神様の体がだんだんと膨らみぴかぴかと光り始めます。

神様が寝ていたところから、大きな光と共にそれはそれは美しい金色の神様が生まれます。

「ああ。良く寝たな。さて参ろうか!」

そういうと美しい金色の神様は奉納された地酒を手に神社をあとにします。

 

「五穀豊穣。五穀豊穣。福寿来復。福寿来復」と門松のある家に入っていきます。

そこの家は障子が破れホコリが立っていました。

するとニコニコ顔ですぐに出てくると次の家に向かいました。

次の家には鏡餅がありませんでした。

するとまたニコニコ顔ですぐに出てくると次の家に向かいました。

次の家には子供達が大笑いしながら福笑いをしていました。

すると、どっかとこたつに腰を下ろすとそこにあった御節をつまみました。

おいしそうな御節は全てお取寄せの出来合い御節でした。

するとまたニコニコ顔ですぐに出てくると次の家に向かいました。

彼が歩くたびに金色の光の粒がはじけ道に広がっていきます。

次の家は見るからに貧しそうな家ですが小さな松飾がしてありました。

家に入ると神棚に丸もちが供えてあり、食卓の上にお重に入ったおいしそうな御節がおいてありました。

ふと見ると隣の部屋で家族全員そろってすごろく大会をしていました。

彼はうれしそうにその輪の中でくるくると踊り金色の光の粒をその家族に注ぎました。

そして家族が食卓に着くと父親が子供達にお年玉を配りました。

たくさん入っていないお年玉でも子供達は大喜びで小躍りしました。

すると彼も一緒に小躍りしました。すると呼び鈴が鳴りお客様がご挨拶にいらっしゃいました。

「いやぁ君の家は本当に綺麗だね。子供達も素直でとてもよい。子供達にお年玉をあげなくてはね」

とお客様は大変うれしそう。彼はそのお客様にも金色の粒をまきます。

すると次々にお客さんがやってきます。

いつの間にかたくさんの人がその家に集まり、たくさんの笑顔に包まれました。

 


そうして三が日彼はその家で金色の粒を撒きながらニコニコ過ごしました。

3日目の朝、彼は今までで一番大きな金色の塊を家に残しニコニコ顔で去っていきました。

4日目の朝、神棚の丸もちをお父さんが取り出し水につけて水餅にしようとすると、

丸もちの端が少しかけていました。

「ああ!!今年はお正月さんが家にいらっしゃった。ありがたい。ありがたい」

とお父さんは言って喜びました。

そして家中のお正月飾りを集め15日のどんど焼きで焼きました。

「とんど様、お正月様、大歳神様、今年は当家に来ていただいてありがとうございます」

と手を合わせました。

すると大きな火の中にニコニコ笑った金色に輝く神様が見えたような気がしました。

その家はその年とても幸せなことがありました。新しい家族が増え、お父さんのお給料が上がり、

頂き物もたくさん届き、家庭菜園の野菜がすごくたくさん取れました。幸せが一年中続きました。

お父さんは全てお正月さんのおかげだと来年は立派な門松と鏡餅をお供えしなければといっていました。

 

 

お正月さん・・・・日本神話に登場する大歳神(大年神)の俗名。

          「年」は稲の実りを意味します。新しい年の豊穣を願う農耕神。

          一年の終わりと始まりの神なので死と再生をつかさどる蘇生神ともされる。

          スサノオの息子。

          最近、都市化が進んでいるので年徳神(歳徳神)とも呼ばれ、福の神ともされる。

          方位学にも取り入れられ恵方様とも呼ばれている。

          節分(旧正月)に食べる恵方巻きは恵方様に健康を祈るために行われる行事。

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